2009年8月20日木曜日

上関 自然の権利訴訟の概要

◎はじめに
 現在準備を進めている訴訟は,上関町長島の自然環境の保全,原発施設による災害防止などを目的として,公有水面埋立法に基づく免許取消を求める訴訟です。 本件は自然及び自然と共に生きていきたいと思う人々が原告となり,自然のために裁判を起こす「自然の権利」訴訟です。

◎原告は?
 ① スナメリ,カンムリウミスズメ,ヤシマイシン近似種,ナメクジウオ,スギモク。
 ② 祝島住民,「長島の自然を守る会」,その他,長島の自然の恵みを享受し,本件原発による事故  により生命身体の危険にさらされる可能性がある者(団体および個人)。

◎被告は? 
 山口県知事です。

◎訴訟の種類は?
 行政事件訴訟法に基づく公有水面埋立免許取消請求事件...となります。

◎「自然の権利」とは?
 「自然の権利」訴訟とは自然生態系に固有の価値を認め,その価値を守るために人々が自然生態系を代弁する訴訟です。
 これは自然 vs.人間の対決ではなく,「自然及び自然と共に生きていきたいという人々」と「開発する人間」との対決です。野生生物を原告とする意味は,この訴訟で最も守られるべき存在であるから,象徴的意味で原告として表示することにしました。

◎埋立免許の違法性とは?

1) 環境影響評価法に基づく手続きの欠如
① 祝島区域について調査が行われていない(法4条1項2号,3号違反)。
② 野生生物に対する定量的評価が行われておらず,当該埋立,原発施設によって生じる生態系への影響予測が科学的知見に基いていない(法第1条違反)。
③ 冷取水の取り込み,温排水などについての影響評価が科学的知見に基いていない(法第1条違反)。 

2) 景観,自然生態系への保全が配慮されておらず,国立公園法,「瀬戸内海環境保全臨時措置法」に違反する(法4条1項2号,3号違反)。 

3) 用地取得が完全に実現しておらず,取得の見込みも経たない。その結果,本件では国土利用の合理性が判断できず,法2条,3条,法4条1項1号に違反する。  

4) 詳細調査が完了しておらず,災害防止への配慮が不明であり,「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」(公有水面埋立法4条1項2号)の要件に違反する。 

5) 漁業権者間で係争中であり,当該公有水面の漁業権者の同意が得られていないこと(法4条3項違反)。
詳細は訴状をご覧下さい。

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